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なたのマンションの修繕工事が始まる前にお伝えしておきたいことがあります。これからも住み続けるマンションの今後の修繕積立金や資産価値のことです。お伝えすることを意識することで、安心して修繕工事を依頼することができ、今後の修繕積立金も楽に計画できるヒントになります。まず、マンションの修繕計画のことから考えてみましょう。
マンション修繕計画で一番お金がかかり頭を悩ませるのが、壁の塗り替えなどの塗装工事です。
塗装工事は何百、何千万円にもなり、修繕積立金の管理や理事会での話し合いなど大変なことが多いと思います。特にお金に一番影響してくる「どの会社に頼めばいいのか?」ということに一番悩まれているのではないでしょうか?
「安いけど工事は大丈夫なの?」、「高いからしっかりした工事をしてくれるの?」、費用と工事内容を判断する基準がないと、どこに頼めばいいのか検討もつかないことと思います。そのためには、マンション塗装工事の進め方に大きく3つの方法があることと、その進め方によって費用が変わることを知っておいてください。
その3つの方法とは、「管理会社主導方式」、「設計管理方式」、「責任施工方式」です。
それぞれにかかる費用は、一般的には「責任施工方式」<「設計管理方式」<「管理会社主導方式」の順に高くなります。
一番金額の高い管理会社主導方式は、管理会社にすべての塗装工事を任せるため楽に進めることができますが、費用を低く抑えることはできません。管理会社から下請けの施工会社※に工事が投げられるため、多くの場合、施工会社から管理会社を通ることによって工事金額が1.5倍~2倍になります。
また、管理会社が選んだ数社の施工会社の相見積り(入札)※では、不適切な価格競争が行われる可能性が高く、適切な価格が出てきづらいのが現実です。また、管理会社も施工会社を工事内容で選んでいるわけではないので「高いからしっかりした工事をしてくれるというわけではない」ということにも注意してください。
2つ目の設計管理方式は、マンション塗装に詳しい設計士(設計事務所)に修繕計画から工事の管理までお任せして進める方式です。
第三者の公正な立場から計画、工事を進められるという利点がありますが、設計工事管理費用が追加でかかるため割高になります。また、管理会社主導方式と同じように、設計士が選んだ施工会社の相見積り(入札)で不適切な価格競争が行われる場合があり、適切な価格が出てきづらくなります。
3つ目の直接施工方式は、施工する塗装会社に施工から工事の管理まですべてお任せする方式です。
中間マージンをかけることなく工事を直接、施工会社に依頼することができるので、管理会社主導方式、設計管理方式より費用を低く抑えられます。但し、様々な工事の管理まで行うため、施工会社の力量が問われることになります。マンションの場合、住んでいる方が大勢いる中での工事となるため、入居者のケアや事前の問題予測などの経験や会社の取り組み姿勢を見極めることが重要になります。
価格で失敗しない会社の選び方
3つの方法をお分かりいただけたと思いますが、では、良し悪しあるそれぞれの方法の中でどのように会社を選べばいいのでしょうか?
あなたがお住まいのマンションでも様々な事情があると思いますので、どの方法が一番良いということは言えません。しかし、適正な価格を見極めるためのヒントが1つだけあります。
適正な価格の会社を選ぶことができれば、無駄にならなかった修繕積立金を余剰として確保しておくことができ、今後の修繕計画も安心して進められます。
あなたに知っていただきたい、適切な価格を見極める一番のポイントは相見積り(入札)を上手く使うことです。
管理会社主導・設計士主導で施工会社を選ぶ場合、どうしても不適切な価格競争が行われる可能性があり、適正な価格が出てきづらくなります。これでは、納得して工事を依頼することができません。そこで、適正な価格を知るために相見積りを上手く活用してください。
マンションにお住まいのあなたが直接選んだ施工会社を相見積りに3社加えるだけです。3社加えることで適正な価格が見えてきます。そうすることで、管理会社主導・設計士主導で選んだ施工会社の工事金額と、あなたが直接選んだ施工会社の工事金額を比べることができます。
不適切な価格競争が行われていないのであれば工事金額はさほど変わりませんが、行われている場合は、あなたが直接選んだ施工会社の工事金額のほうが明らかに安くなります。これによって工事金額の適正な価格を知ることができ、どの会社を選ぶべきかのとても大切なヒントになるでしょう。
しっかりした工事をする会社かどうか?
次に気になることが工事の出来栄えだと思います。
事前にしっかりした工事をするかどうかは、その施工会社が今までに行った工事や、過去に工事を依頼したお客様の声で判断するのが一番間違いありません。今までの工事を見せてもらうには、施工会社に聞いてみるのが一番です。工事をしたマンションが実際に見れなかったり、工事をした管理組合様にお話を聞けないにしても、施工写真やアンケートなどで確認させてもらうようにしましょう。
マンションの塗装がもうちょっと先で、それほど急いで会社を選ばなくても良い場合は、費用のあまりかからない簡単な工事を実際に依頼してみる方法もあります。マンション塗装というと、どうしても建物本体のことをメインに考えてしまいますが、本体よりも先に傷みやすい階段の手すりや立体駐車場などの鉄部はメンテナンスサイクルが早くなります。一般的には5年程度です。
簡単な工事で出来を判断する場合は、その鉄部の塗装を依頼してみましょう。なぜ鉄部の塗装で出来が判断できるかというと、マンション塗装で一番重要な下地処理の影響が一番現れる箇所だからです。鉄部の塗装で一番大切な工程は錆落としです。錆落としをしっかりやるかどうかでその後の塗装の持ちが大きく変わってきます。錆落としは手間と時間がかかる地味な作業です。手を抜こうと思えば、錆の上から塗装して分からなくすることもできます。
そういった手を抜こうと思えば抜ける箇所なので、会社や職人の取り組み姿勢が大きく反映されます。取り組み姿勢の悪い会社が良い工事をすることはないため、鉄部の塗装の出来でマンション本体の工事の出来も事前に見極めることができます。
もう一つ大切なポイント
最後にもう一つ大切なポイントをお伝えします。
それは、価格が適正かどうかを見極めて会社を決める際には、価格だけではなくずっとお付き合いできて信頼のおける会社がどうかということが重要だと思います。
多少高くても、誠実で安心できる工事をする会社もありますし、安いなりの仕事しかしない会社もあります。本当に任せても大丈夫なのか、実際に会って色々な話を聞いてみて決めるようにしてください。
その他お金や建物のお悩みなどお気軽に
多くの方が参加しているマンションの理事会で「私はこうしたほうが費用を抑えて良い工事ができると思ってるんだけど理事会に伝わらない」など、マンションやご自身のことを真剣に考えているのに、なかなか意見が通せない方も多くいらっしゃいます。そのようなときは遠慮なくご相談ください。
建物のこと、お金のご相談など無料で承っております。
※「施工会社」とは
実際に職人を使って塗装工事を行う会社。施工会社が管理組合様から直接仕事を請ける場合もあります。
※「相見積り」とは
相見積りとは(入札)のことです。複数の会社が同じ条件で塗装価格を提示し依頼先を決める方法です。